GoogleのAI帝国戦略:「知性の宝庫」が売買される未来→NotebookLMが生む新経済圏【後編】

Last Updated on 2025年8月23日 by akito1012

はじめに:パラダイムシフトの、その先へ

こんにちは、あきとです。

前編では、NotebookLMというAI時代の黒船が、AIの「噓と見抜けないような嘘の出力」という最大の欠点を克服し、検索の動詞を「ググる」から「ソーする(ソースから検索する。仮称)」に変えてしまうほどのポテンシャルを秘めている、という話を書きました。

では、このNotebookLMが普及した世界では、一体何が起きるのか。

今回は、このツールが生み出す、新たな「知の生態系」と、Googleの野望的なビジネスモデルについて、さらに深く妄想を広げていきたいと思います。

ここ大事、ぼくの「妄想」です。でも実現したら面白そう。

「知性の宝庫」が売買される、新たなクリエイターエコノミー

「NotebookLMクリエイター」という、新たな専門家

まず、ぼくは「NotebookLMクリエイター」という、新たな専門家が登場する、と睨んでいます。

中学受験、大学受験、国立受験、旧帝大受験、転職活動、特定のPC、インテリア、家庭菜園、社会学、政治学、医学、世界遺産…。

あらゆる分野で、過去の実績に裏打ちされた専門家が、信頼できる情報ソース(論文、一次情報、自身の経験など)だけを詰め込んだ、超高品質なノートブックを作成し、公開する。

そのノートブックには、ランキングやレビューが付く。ジャンル別にせよ、利用者数順にせよ、ひとまず、みんなが大好きな「ランキング」形式にして、「レビュー」をつけてやる。

結果的に人々は「どのノートブックが、一番信頼できるか」を基準に、情報にアクセスするようになる。

また、ノートブックには価格付けして販売も可能。

  • 権威ある学者等が共同作成したノートブック
  • 大学などの学術機関が作成したノートブック
  • 野村総研などのシンクタンクが作成したノートブック

これらには、たとえば、1つ500円とか1000円とかで販売もできちゃう。当然、一部が手数料としてGoogle側に落ちる。

ソースの秘匿など、対応すべき課題は確かに多い。

けれども、実現したらかなり興味深い世界観が実現するんだろうなあと、ひとりごちております笑

これからは、「いかにいいページを作るか」ではなく、「いかに良質な情報を集約できるか」が大切になってくるのかもしれません。

「暗黙知」を「形式知」へ:Googleという名の、巨大な大学

さて、ノートブッククリエイターというところに軸足を戻してきます。

博士や学校の先生がアウトプットする情報は、膨大なインプット(経験や読書)に基づいているけれど、その元となる知見は、多くが「暗黙知」になっています。

正確には、どこをどう探しているのか、というプロセスが見えない。だから、彼らは果たしてどのようなインプットを掌握しているのか、それも可視化できているとはいえないわけですな。

NotebookLMは、この専門家たちの頭の中にある「暗黙知」を、誰もがアクセス可能な「形式知」へと変換する、画期的なツールになり得ます。

専門家が何をインプットし、どう結論を導き出したのか、その思考のプロセスまでが、ソースと共に可視化されるからです。

そして、その先に見えるのは、LMそのものが、一つの「巨大な大学」になる未来です。

たとえば、

  • 「中学受験学部」:「開成対策ノートブック」や、「新御三家(海城、駒東、本郷)研究ノートブック」、「女子新御三家(豊島岡、鴎友、吉祥女子)ノートブック集」
  • 「大学受験学部」:「旧帝大医学部攻略ノートブック」、「名古屋大学:整数問題攻略ノートブック」、「北海道大学:数列問題攻略ガイドブック」、「早慶英語:文法問題攻略ノートブック」
  • 「転職学部」:「高卒が大手事業会社への入社を目指すロードマップガイド」、「公務員から外資系コンサルへ:職歴書からケース面接対策まで、総攻略ノートブック」

がネット上に所狭しと並ぶ。LMが、正真正銘の「電子図書館」になるかもしれない。

人々は、そこで自由自在に、とことん、無邪気に、知を探求していく。

まさに、知恵の共有が、人類の底力を底上げする、そんな夢のようなプラットフォームです。

Googleの新ビジネスモデル:月額制「知のプラットフォーム」

そして、この「知の大学」を支えるのが、月額制のサブスクリプションモデルです。

たとえば、月額2000円を払えば、有料販売(後述)されている専門的なノートブックも含めて、全てが読み放題になる。ハイクオリティな論文、専門家が抽出した信頼できる数々の情報源、それらのソースが詰め込まれた専門書並みのノートブックが、すべて読み放題になる。

もちろん、無料開放もありうるのだけれど、この見出しの備考欄でも書いているように、そろそろノートブックLMの有料化に踏み切っても

これらに裏打ちされたこの構想は、決して単なる妄想物語ではなく、非常に現実味を帯びている。

と、ぼくには、そう思えるんです。

今現在、NotebookLMの使用料はフリーです。無料で使えるサービスとしては、ここまで費用対効果が高いものは見たことがありません。

300近くも投入可能な情報源、音声生成、動画生成、マインドマップ…。

これらの機能に対して、お金を全く取らないということに、ぼくは大いなる違和感を覚えてます。

…これは、絶対裏に何かがある。

そう邪推したぼくは、追加で料金を課せるような領域、たとえば、上記のサブスクモデルの導入、あるいはNoteboolクリエイターによるノートブック販売機能の追加などを想定しているわけです。

無限に広がる、NotebookLMの活用術

教育現場での「下剋上」ツール

もう少しだけ、使用現場を列挙してみましょう。

たとえば、教育機関。

期末や中間テスト対策用に、学年1位から5位までの生徒だけが編集できる「期末試験対策ノートブック」を作る。そこに、彼らの授業メモやプリントを放り込んで、学年で共有する。学年全体の成績が、底上げされるかもしれない。補修対策に使えるかもしれない。授業の進度についていけない人をバックアップできる参考書になりうるかもしれない。

あるいは、「受験系YouTuber」が、筑波大学の過去問や傾向を分析した「筑波大学国際総合学類対策ノートブック」を作り、500円で販売する。本を50冊買うより、よっぽど効率的ですよね。

あるいは、大学内のテスト対策用に、先輩たちが代々受け継いできた過去問などの情報を、1つのノートブックに集約して保管する。そのブックを、後輩へとどんどん受け継いでいけば、眼鏡で網羅的なテスト対策用ブックが爆誕することになる。

企業内での「共有知」の構築

社内での活用にも、制限はありません。

たとえば、特定の分野に詳しいエース社員が、その知見をまとめた「社内共有ノートブック」を作る。新人は、まずそのノートブックで基礎を学ぶ。未経験者向けの研修でも、参考ガイドとして十分に活用できる。

ぼくは実際にプロジェクト内での顧客対応に活用してます。

たとえば、プロジェクトに関する議事録やパワポの成果物、Excelの表などを全てPDF化して、一つのノートブックに放り込んでおく。そして、お客様から質問が来たら、ぼくは答えません(笑)。その質問をコピペして、ノートブックLMに尋ねる。出てきた、引用元が明記された正確な答えを、少しだけ成形して、送り返す。

もちろん、パワポの「フォーマット設計」や、Excelの複雑な「ロジックを組む」といった、本当に頭を使う部分は、自分でやります。

でも、中身に入れる「文章」のアイデアを何パターンか出してもらう、といった作業は、LMとかGeminiに任せる。

この使い分けが、下っ端コンサルの「雑用」を、劇的に減らしてくれるんです。

だからコア業務にコミットできる。

おわりに:AI帝国の完成へ

Googleの青天井な資金力。ベストブライテストによる緻密なAI戦略。

こうして見ると、Googleの戦略は、極めてクリアで、かつ極めて的を射ていますよね。

AI modeという、インターネットへの新しい「入口」。

Geminiという、汎用性が高く、圧倒的なコンテキストウィンドウを持つ、最強の「矛」。

そして、NotebookLMという、信頼性が担保された「知のインフラ」であり、最強の「盾」。

この「御三家」を組み合わせることで、AIの欠点である「確からしい嘘」を克服しながら、情報処理能力という強みを最大限に活かす。

そして、検索と知の世界に、新たな覇権と、差別化されたビジネスモデルを構築する。

これこそが、Googleが目指す、「AI帝国」の完成図なのではないかなぁ。

ぼくには、そう思って、いや、妄想しています。

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